Rassvet 歩行編

久々にお手入れする上でちょいと模様替え。読んだ本とか行った場所について買いてくつもりです。

下学上達の本棚:第27回「モーパッサン短編集」モーパッサン

 読書の秋!には小説がド定番。

 ということで今日は自習室の小説をご紹介。
 今回は、短い時間で読めるモーパッサン短編集」をご紹介いたします。

 

モーパッサン短篇集 (ちくま文庫)

モーパッサン短篇集 (ちくま文庫)

 

 

 モーパッサンは「女の一生」という作品で有名ですね。理想と現実の違い、女性の生き様…そういうものを描いた名作長編小説です。
 この短編集でも、やはり女性が主役の物語が多く描かれます。それぞれ大体10ページから20ページ程度の短編が20章つまっており、人々の夢や理想、野心や野望と、現実の残酷さ、やるせなさや滑稽さが描かれています。
 どれも読みやすく面白いのでぜひ読んで頂きたいのですが、今日はその中から一編、「首飾り」についてご紹介いたします。滅茶苦茶ネタバレなので、気になる方はここまで。
 面白い本なのでオススメです!
 
 
 

 

 
 
 
 
 
 
 
…もういい?
 
 とある小役人には、美しい妻がおりました。美しくとも特別裕福ではない普通の家に生まれた彼女。「自分の美しさにはもっとエリートで金持ちの男が釣り合うのに」と本心でおもいつつ、そんなツテもないので小役人の妻になりました。
 しかしそんな見栄っ張りな彼女が、内閣の大臣たちも出席するような豪華なパーティーに招かれます。しかし良い服も宝石も持ってない彼女は、貧相な身なりではパーティーなんか行けない!と思ってイライラします。
 夫は貯めてた金でドレスを買ってあげますが、宝石までは買えません。そこで、近所に住んでる仲良しのご夫人に宝石を借りるよう妻に言います。
 そして妻は、その夫人からダイヤモンドの首飾りを借りて、パーティーに出席しました。
 美貌を誉め称えられ、幸福の絶頂にいた妻。しかし、家に帰ると首飾りがなくなっていることに気付きます。あちこち探しまわりますが、結局見つかりません。
 結局、似たような代わりの首飾りを買ってお返しすることにしました。
 しかしダイヤモンドの首飾りは恐ろしく高価でした。家屋敷は売り払い、役人の夫が親から相続した遺産をなげうって、方々から借金をしてようやく買うことができました。
 それから10年、夫妻はその借金の返済の為にひたすら働きに働き詰めます。
 10年後、苦労を重ねたおかげで、なんとか借金を返済し終わりました。しかし、10年の艱難辛苦によって、彼女は在りし日の美貌の影も残らぬ、老け込んだ醜い姿になっていました。
 そんな中、妻は首飾りを貸してくれた夫人にバッタリと再会します。彼女は今も美しいまま。
 話しかけてみても、人違いと思わるくらい、妻の容姿は醜く変わり果てていました。
 八つ当たりではあるものの、妻は「あなたのせいよ!」と言って、夫人に今までの一切を打ち明けます。
 首飾りを無くしたこと。
 その代わりのダイヤモンドを買ったこと。
 その借金の返済で10年間、とても苦労したこと。
 妻が全てを語りおわった後、話を聞いた夫人は…
 
 
 まさに衝撃のラストシーン。ホラー映画も真っ青な恐ろしい結末です。
 ぜひご自身で内容を確認ください。
 オススメです!
 
 あの日、首飾りを失くすような事がなかったら、いったいどうなっていただろう。そんなこと誰にわかろうか、いったい誰が。人生はなんと不思議にできていることか!ほんのちょっとしたことで、破滅したり、救われたりするのだから!
 (「首飾り モーパッサン短編集」モーパッサン