Rassvet 歩行編

久々にお手入れする上でちょいと模様替え。読んだ本とか行った場所について買いてくつもりです。

下学上達の本棚:第3回「受験脳の作り方 脳科学で考える効率的学習法」池谷裕二

 自習室たるもの、自己啓発本とか学習法とかの本を置くのが定石であります。

 当自習室でも当然その手の本はありまして、そのなかでまずご紹介したいのが「受験脳の作り方 脳科学で考える効率的学習法」です。

 

受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 (新潮文庫)

受験脳の作り方―脳科学で考える効率的学習法 (新潮文庫)

 

 

 たいていの「学習法本」は、「私はこうやったらうまく行った」という著者の経験、主観を語っているものですが、この本は違います。脳科学という客観的な根拠を示しているのです。その点で、他の本よりも「この学習法を自分に取り入れるかどうか」の判断がしやすい書籍であると言えます。
 もっとも、著者は冒頭でこう述べておりますが。
 
 …だから読者の皆さんには、この本を「絶対真理を記述した本」としてでなく、「記憶を専門に研究する池谷佑二が『自分ならばこう勉強する』と提案する本」であると捉えて頂きたいと考えています。
(「受験脳の作り方 脳科学で考える効率的学習法」池谷佑二)
 
 もともとこの本は「最新脳科学が教える 高校生の勉強法 東進ブックス」という本で、それに加筆修正をして文庫化したものです。
 以前の本も読みやすい良い本でしたが、文庫化にあたって最新の科学情報に内容が更新されています。イラストなんかも変わってますね。巻末に参考文献一覧や索引がついてるのもポイント高いです。
 この本の良いところをさらに挙げていくと、「効果的な記憶の仕方」「そもそも脳とはどういう仕組みなのか」といった情報が、それぞれ小さいコラムにまとまっていることです。それが入れ替わり立ち替わりで出てくるので、飽きずにサクサクと読めます。
 例えば「海馬の神経細胞の性質」の話の次に、「好奇心を持つことが記憶力を高め学習のやる気を促す」という話が出てきます。後者だけだとただの根性論ですが、前者の話題を踏まえる事で、脳の仕組みと学習法の連関が理解できるのです。だから、「自分ならこういう風にこの仕組みや学習法を工夫できるかな」と考えることが出来るのですね。
 この本で挙げられているトピックはとても多く、ここでは紹介しきれません。自分の学習法を見直して、より効率的なやり方を取り入れたい方にはとても良い本だと思います。おすすめです。
 
 学習は勉強する時間の長さが重要なのではありません。大切なことは勉強への意欲、そして学習方法です。効率よく勉強して成果をあげ、時間が余れば、ほかのことに使いましょう。趣味、自己研鑽、デート、何でもいいです、うまく時間を使って、今の時期の皆さんにしかできない、彩りのある生活を送ってほしいと切に願っています。
(「受験脳の作り方 脳科学で考える効率的学習法」池谷佑二)