下学上達の本棚:第2回「宇宙へ行きたくて 液体燃料ロケットをDIYしてみた 実録なつのロケット団」あさりよしとお
「人間は何でそこまでして宇宙へ来たくなるんだろう?」
「それは、きっと人間が宇宙へ乗り出すために生まれてきた生き物だからよ!」
宇宙へ行きたくて液体燃料ロケットをDIYしてみた: 実録なつのロケット団 (学研科学選書)
- 作者: あさりよしとお
- 出版社/メーカー: 学研マーケティング
- 発売日: 2013/08/28
- メディア: 単行本
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彼らはSNS株式会社というロケット開発専門の会社で、北海道を拠点に活動されているそうです。
そういう国家プロジェクトでも失敗することがあるというのに、民間企業がロケット打ち上げ???
とはいえ、「夢を追っている気分」だけを楽しむつもりはない。これは100%実現を前提にしたプロジェクトである。開発を持続させていくためには明確なテーマを持たなくてはいけない。我々なつのロケット団が立てたテーマはこうだ。
○国を頼らず完全民間主導で開発を進める
○ホームセンターやネットショップで入手できる材料を使う
○10年以内を目処に地球周回軌道に到達できるロケットを開発する
○そのロケットで安価な人工衛星打ち上げサービスをビジネス展開する
○そこで得た資金と技術で有人宇宙船を作る
ホームセンターの材料で宇宙ロケット!
そうなのです、彼らはその辺の島忠とかカインズホームで手に入るようなパーツを使って、ロケットを組み立てていってしまうのです。「L字アングル」「結束バンド」など、日曜大工の経験者なら「確かにホムセンに置いてあるねえ」と思うものが、文章のなかに沢山出てきます。
もちろんそれだけでは足りない部品がありますから、そういうものは町工場で特注します。それでも、NASAでなければ手に入らない目ん玉飛び出るような値段のものではありません。その気になれば、一般庶民でも手に入るパーツをそろえて、自分たちで組み立てていくのです。
自分たちの家の台所を作業所にして、せまい中をホリエモンやあさり師匠が行き来しながら、ドリルやノコギリ片手に段々と、開発を進めていく姿が本の中に描かれています。
ロケットが飛ぶ仕組みなんて知らない方でも大丈夫。あさりよしとお直々の可愛らしいイラストで、誰でもピンとわかるような作りになってます。
そして彼らは作業場所を点々としつつもより良いロケットを作り続け、やがて高度数千メートルにまで達することになります。
ホリエモンの宇宙開発プロジェクトというと、有り余る金をガンガン注ぎ込んだ壮大なもののように思いますが、実態はこんな感じでスタートしていたのです。
そうなるともちろん、ライブドア事件とその影響についての話も本の中で描かれます。そこもぜひ読んでみてほしいのですが、そこで描かれる「堀江貴文」像は、テレビに映ってきた「ホリエモン」像とは随分違うと思う事でしょう。
「自作ロケット開発の記録」を描いたこの本はある意味、「ロケット打についての知識を学べる学習本」でもあり、「夢を追いかける人生に読者を誘う啓発本」でもあり、また「仲間たちとの青春の物語」でもあるのです。
宇宙ブームと騒がれる昨今、いっそのこと「宇宙へ行く話」をブームにしていきましょう。
「液体燃料ロケットをDIYしてみた」おすすめです!
ロケット作りは難しい。でも、苦しくはない。
ロケット作りは楽ではない。でも、ロケット作りはとても楽しい。