下学上達の本棚:第1回「風雲児たち」みなもと太郎
「どんな歴史書よりおもしろい。どんな歴史書よりよくわかる。
江戸時代を四半世紀かけて走り続けた男ーー
それが、みなもと太郎だ!」
(呉智英…思想家・評論家)
表紙を見ると、「なーんか堅苦しくて読みにくそう…」と思うかもしれませんが、中身の絵は全然ちがう!
すごくギャグタッチで読みやすいのです。
「なんたることかサンタルチア!」
この漫画は現在(2014年8月)までも連載中の作品ですが、連載がはじまったのがなんと1979年。つまり35年間も連載している、長寿漫画なのです。
…いったいなにをそんなに長い間書いているのか?
…じゃあ幕末の話だけで何十年も書いているのか?
…幕末漫画で関ヶ原?
なんのために関ヶ原に来たのかまったくわからない藩が三つある すなわち長州 薩摩 土佐の三国であった
しかし彼らが登場するためには、江戸時代の約260年間を通じて立ち現れてきた様々な「風雲児たち」の築いた土台あってこそでした。
彼ら彼女らが自分の理想や目的を目指し、がむしゃらに生きようとします。しかし、弱い人々を守るという理想は、強い人々たる権力者たちと衝突せざるをえません。
幕府という強大なシステムは、風雲児たちに有形無形の抑圧を加えてきます。それが幕府自身を滅亡に導くとも知らず…
上に挙げた風雲児たちは、多くの人にとっては知らないか、高校日本史で「あーそういやこんな奴の名前を暗記した気がすんなー」という程度の存在にすぎなかったでしょう。
しかしこの漫画の中で努力し、苦悩し、泣いて笑い、ギャグもかまして図太く生きる風雲児たちの姿を見ていると、「暗記」すべき記号でしかなかった歴史上の人物たちが、魅力的で鮮やかな存在として浮かび上がってくるのです。
そして彼らの人生をたどって、いつしか幕末にまで至る時…それまでに起きた様々な出来事が、実はさまざまな形で関連している事に気がつくでしょう。
何百年も前に起きた出来事Aが、幕末に大きな影響を与えてくる。それがまた、幕末の違う出来事に大きな影響を与える。
歴史がタテとヨコで一気につながっていくのを理解する快感を、漫画を読んでいるだけで体感できるのです!
ありがたいことに、というべきか、まだこの漫画は連載中で、江戸幕府が潰れるまではまだまだ時間が掛かりそうです。
…やなせたかし先生並みに長生きして、最後まで描ききって頂きたい!
ということで今日は「風雲児たち」をご紹介しました。全巻セットで自習室にそろえておりますので、ぜひご覧ください。そして買え!オススメです!
「人の命は短いのです。ぼくと一緒に学びましょう…!」