Rassvet 歩行編

久々にお手入れする上でちょいと模様替え。読んだ本とか行った場所について買いてくつもりです。

下学上達の本棚:第31回「類語国語辞典」

………いま一つは、選ばれて文脈の中で使われる語は、実は文の上では使われなかった単語との間の潜在的な関係において制約されながら使われているということである。例えば、「眺めやる」という単語が文脈の中で使われるということは、実は、「見る」「見やる」「眺める」「眺望する」「望見する」などの単語群との間に保たれている潜在的な関係の制約のもとで、「眺めやる」が選択され、使用されるのだということである。
(「類語国語辞典」大野晋、浜西正人)
 

 本日は普段と趣を変えて、読む本というより調べる本をご紹介。文章を書く人にはおなじみ「類語国語辞典」です。

 

類語国語辞典

類語国語辞典

 

 

 類語辞典とは、単語をアイウエオ順でなく「意味」で分けて並べた辞典です。
 たとえば「自然」という大ジャンルの中の「天文」という中ジャンルの中に、また「宇宙」「太陽」などの小ジャンルで単語が分類されています。
 たとえば「太陽」という意味を表す言葉にも、そのまま「太陽」があり、また「日」がありますよね。
 では「太陽」と「日」の違いは何か?
 「太陽」は希望の中心となるもの、最も輝かしいものなどを例える言葉として使われます。「君は僕の太陽だ!」「心の太陽」みたいにね。しかし「日」のほうはそういう使い方をしませんよね。「娘は我が家の日だ」とかじゃ意味がわかりません。暦でない時の「日」には、「目に見えている太陽」を特に意味しています。「日の光」「日が出る」のように。
 しかし、科学的な文脈で太陽を表現する時には「日」は使いません。「太陽の黒点」「太陽系の惑星」という言葉では「日」には置き換えられませんよね。以上のようなところが「日」と「太陽」の違いです。
 たしかに普段われわれ自身そうやって使い分けていますが、意味を改めて確認したりということはそうないと思います。日常会話やネット上でのちょっとしたやり取り程度ならそれで十分ですが、仕事や学問、その他本格的な文章を著す時、一言一句にまで気を配って書く必要のある場合、どの単語を選ぶのかは非常に大事になります。
 同じ意味の違う言葉や、微妙に違うニュアンスの言葉を探す時は、この類語辞典が活躍しますよ。
 是非ご利用ください。オススメです。