Rassvet 歩行編

久々にお手入れする上でちょいと模様替え。読んだ本とか行った場所について買いてくつもりです。

下学上達の本棚:第13回「落合シェフの美味しすぎるイタリア料理」落合務

 みなさん朝のテレビは何を見ていますか。

 まあ最近はテレビ見ない人も多いので何も見ないで出かける方もいらっしゃると思います。テレビをつけてても時計代わりにしてるだけとか。
 僕はなんだか気がつくとNHKばっかり見ているので、朝はいつも「おはよう日本」「日本縦断こころ旅」「連続テレビ小説」そして「あさイチ」というコースが定番です。一部BSも入ってますね。ときどきここに「ワールドニュース」とか…爺様だなこれ。
 いや、CMいらないし最近の芸能人よく知らないし、そういうのが無くて落ち着いて見れる番組というと、NHKくらいしか無いんですよね。
 他にもそう思う人が多いのでしょう、いまは8時台のテレビで隆盛を極めているのは「あさイチ」だというじゃないですか。良いよねイノッチと有働さん。「花子とアン」は半分あの二人のウケ目当てで見てるようなもんですよ(もう半分は伝助さん目当て)。
 そのあさイチ」に良く出てくる「夢の3シェフ」のおじさんの一人に、イタリア料理担当シェフ「落合務」さんがいらっしゃいます。
 本日ご紹介するのはその落合シェフの書いた「落合シェフの美味しすぎるイタリア料理」です。

 

落合シェフの美味しすぎるイタリア料理 (ワニ文庫)

落合シェフの美味しすぎるイタリア料理 (ワニ文庫)

 

 

 この本には小さなコラムが沢山載っており、それぞれイタリア料理の様々な素材・料理をテーマに、落合シェフがレシピや解説、自身の経験したエピソードなどが綴られています。
 
 例えばバルサミコ酢。ブドウから作った酢ですね。一時期ブームになりましたが、どうでしょう皆さん未だにちゃんと使ってますか。もしかして冷蔵庫の中で何年も眠っていませんか。
 このバルサミコ酢、実は大変手間のかかる調味料だそうで、ブドウの汁を煮詰めて樽に入れ、5・6年から2・30年まで熟成させるそうなんですね。
 バルサミコ酢は長く寝かせれば寝かせるほど香りが良くなり、価値が高まる。だからかつてのイタリアでは、バルサミコ酢の樽を財産として子々孫々に残していた。いざ生活に窮した時に、ご先祖の残したバルサミコ酢に救われた者もおおいという…
 なんてウンチクが紹介されたりします。もちろんそれだけじゃなくて、ちょっとしたレシピも。
 たとえばそのバルサミコ酢、上等なものなら香りが飛ぶので火を入れてはいけません。でも1本1000円程度の手頃なものの場合、じっくり煮詰めることで上等なバルサミコ酢に食感が近づくそうです。
 その煮詰めてシロップ状になったバルサミコ酢を、バニラアイスクリームの上にたらり…コクのある、ちょっと風変わりなデザートが出来上がるそうな。
 あるいは生野菜に塩、こしょう、オリーブオイルをかけて、最期にトロリと煮詰めたバルサミコ酢をかける。そんなサラダもおすすめだそうです。
 …なんて、読んでるだけでおなかが減ってくるような話が盛りだくさんです。食事前に勉強しようと思ってたら、読まない方が良いですね。
 
 他にもこの本には、青年・落合務がいかにしてイタリア料理に目覚めたか、イタリアでの修行中にどんなことがあったか、という自伝的なコラムも載っています。
 元々はフランス料理のシェフを志望していた落合シェフは、フランス修行の帰りに立ち寄ったイタリアで、4日も過ごすことになります。当初は「汚い国だな」と悪い印象で、町のレストランも盛りつけが雑な家庭料理ばかり。「フランス料理とちがって、センスの無い料理だぜ」と思いながら4日間毎日違うレストランで食事しますが、いつも同じようなメニューばかり。
 しかし、3日目の昼くらいから、ふと気づきます。「でもこの料理って毎日食っても飽きないな」と。
 
 考えてみれば、フランス料理も素晴らしかったが、昼、夜、食べ続けるのは正直キツかった。自分が有名レストランばかり選んでしまったこともあるが……。でもイタリアのメシは毎日食っても飽きないのだ。食事って本来そういうもんなんじゃないか、と僕はそのとき気がついた。
 人間は生きている限り、食べなきゃいけない。なら毎日食っても飽きなくて、美味しい料理を食べるのが人間の幸せだ。せっかく作るなら、幸せになれる料理を作ってお客様に食べさせてあげるのが本望というもんだろう。
 イタリア料理を勉強してみようと思ったのは、そのときだった。それは今まで知らなかったイタリア料理の世界が僕の前に扉を開けた瞬間でもあった。
 (「落合シェフの美味しすぎるイタリア料理」落合務
 
 「イタリア料理について一流シェフの書いたコラム」としても、「イタリア料理に魅せられた人間の伝記」としても、「料理人から見たイタリアの風俗習慣」を描いた本としても楽しめる、一粒で何回も美味しい本です。
 読むとおなかは空きますが、一つ一つのコラムは短いので、気分転換にはうってつけかもしれませんね。
 「早く勉強終わらせて飯食いに行こう!」という気になります。
 オススメです!