第37回「増補新板 歴代首相物語」御厨貴 編
2014年11月18日、衆議院を解散して総選挙を行うことが表明されました。
まあなんで解散したのとかはさておき、これでまた12月に選挙が行われます。
選挙の後は特別国会で総理大臣指名という手順を踏むわけですが、対抗馬もいないんで多分自民党が勝つでしょうし、また次も安部首相続投でしょう。この10年くらい毎年のように首相が変わってきましたが、安定政権ちゃ安定政権になってますね。
しかし未来の日本の高校生たちは、大学受験に際してアホみたいにコロコロ変わる首相たちとその業績を暗記する羽目になるんだろうなあと思うと、実に哀れな気持ちになります。
そこで今回は歴代の首相・総理大臣たちがどんな人物だったのかを網羅した書籍、御厨貴「増補新板 歴代首相物語」についてご紹介いたします。
初代総理大臣伊藤博文から96代総理大臣安倍晋三まで、62人の総理大臣についてあまり知られていない人物像・業績を記した本書。振り返ってみると、「総理といえば」という人や「ああそういえば居たねえ」という人、「あんた誰?」という人まで、実に様々な人がやっているものだと思い知らされます。
「総理と言えば」なタイプですと、伊藤博文なんかは小学校の歴史の授業でも習う基本中の基本ですし、田中角栄もザ・総理って感じですよね。最近だと小泉純一郎もインパクト強い総理でした。それぞれ良し悪しあれど、首相・総理と聞いて顔が思い浮かぶのはその辺が多いのではないでしょうか。
個人的に「ああそういえば居たねえ」という総理はポマードこと橋本龍太郎とかです。
橋龍は消費増税やその頃の山一證券破綻・東南アジア通貨危機なんかのデカイ事件と重なってはいるのですが、前後の村山富市や小渕・森・小泉の流れのほうが印象深いので、どうも影が薄くなりがちな気がします。小渕さんも「そういえば居たねえ」に近いのですが、「冷めたピザ」「ビルの谷間のラーメン屋」「ボキャ貧」「人柄の小渕」とかのあだ名が沢山あるので印象深いですね(中身じゃなくてそこかよ)。最近では娘さんも世間の耳目を集めてますし。
そして「」
「あんた誰?」枠の総理は沢山いますが、人気の短い羽田孜を始め、宇野宗佑とか鈴木善幸、芦田均・片山哲なんかもこの枠ですよ。特に戦前から戦中、犬養毅以降の総理は重要なくせに何やったんだかよく覚えてない奴のオンパレードですよ。林銑十郎は「なにもせん十郎」のアダ名で有名ですがなんもしてねーのかよ!って感じですし、阿部信行とか米内光政あたりだと東條英機の影に隠れてボンヤリしちゃいますし。あと岡田啓介とか広田弘毅あたりも、名前は思い出せても何やったか思い出せないんだよなー。たまに順番ごっちゃになったりして。岡田啓介は二・二六事件の時の人ってくらいかな。
とまあ、自分の住んでる国のトップリーダーながら、彼らが何をやったどういう人なのか、そもそも誰が首相だったのかを知らない人のほうが多いのではないでしょうか。
政治はすぐに色々変わることはないでしょうが、首相は種々多様に変わってきました。選挙を前に、その移り変わりを眺めるのも一興かと思います。
って結局本の紹介してないな。まあそういう総理たち一人ひとりについて語ってる本なんですよ。気になる人のページをパラパラめくるだけでも面白いです。オススメです。