Rassvet 歩行編

久々にお手入れする上でちょいと模様替え。読んだ本とか行った場所について買いてくつもりです。

下学上達の本棚:第19回「三色ボールペンで読む日本語」齋藤孝

 

三色ボールペンで読む日本語 (角川文庫)

三色ボールペンで読む日本語 (角川文庫)

 

 

 自習室の書籍は基本的に私の個人的な蔵書でもあるのですが、漫画はともかく活字書はけっこう新たに買い直したものが多いのです。

 金が無いなか本を買い直したのは、そもそもこの三色ボールペンで読む日本語」のせいですよ!活字書を読むときは、ほぼ全ての本で線を引いて読むクセがついてるせいで、皆さんにお見せできる状態の本が少なかったんです。

 

 三色の使い分け方は、次のようだ。

 

 青(客観重要)…「まあ大事」というところに引く。

 自分の主観というよりは、誰が見てもあるていど大事であろうというところに、気楽な気持ちで引く。多く引きすぎても構わない。後から青の部分を読めば、あらすじや要約になっているという弾き方をする。

 赤(客観最重要)…客観的に見て「すごく大事」と思ったところに引く。

 自分の独りよがりではなく、誰が見てもここが最重要であろうという箇所に引く。全文を読む余裕がない人にも、その赤線部だけを見せれば文章の主旨が伝わる、という箇所に引く。赤は青と違って、むやみに多く引くと「限定」の意味が少なくなるので、絞り込むようにする。青の上に重ね引きしても構わない。

 緑(主観大切)…自分が勝手に「おもしろい」と感じたところに引く。

 文章の客観的な要約とはまったく無関係に、自分の好みでおもしろいと思ったり引っかかりを感じたところに自由に引く。完全に自分の好みや関心が基準となるので、正解不正解はもちろんない。気楽に引くことができるので、読み進める場合は、緑を軸にして引くのもやりやすい。

 話の本筋ではないがおもしろいところや、他の人が引きそうもないところに引くのがコツ。青、赤と重ね引きしても構わない。論理的に重要かどうかという観点から一度離れてみると、緑がおもしろくなる。論理より感覚優先で引くと、青・赤には無い味が出る。

 (「三色ボールペンで読む日本語」齋藤孝

 

 と、以上が本書のエッセンスです。あとはひたすら、この「技」をどう身につけるか、応用させていくか、という話になります。

 そう、これは読書をしていく際の具体的な「技」なのであります。

 以前ご紹介した佐藤優の「読書の技法」も読書術の話ですが、あれはどんな本を読むか、速読や熟読はどうやるか、という話でした。

 この本のなかでもそういった話は出てきますが、それ以上に大事なのは「三色に色を使い分け、線を引きながら本を読む」という、読書時に具体的に手をどう動かすか、というなのです。

 だから著者の齋藤孝は、これは技だから修行も必要だし身につくのに時間がかかると言います。しかし、この技を学ぶことで、「読む」という行為を受動的なものから「読む=考える」という能動的な行為に変えることができるのです。

 単に著者の主張に従うというレベル(受動的な状態)と、自分のアタマで考えるというレベル(能動的な状態)の間に「線を引きながら読む」という行為、能動的に受動してる状態があるのだ、というのが齋藤孝の主張です。

 人と人とのコミュニケーションは、まず相手の言っていることを正確に理解することからはじまります。相手が言ってることをちゃんと理解してないのに自分から話しても、トンチンカンな会話にしかならないからです。

 そして読書とは、その本の作者が全身全霊で殴り掛かってくるようなコミュニケーションです。一冊読み終わるまで何時間も、作者の思考に寄り添っていかなくてはなりません。その内容を受け止めるには、「技」が必要なのです。

 

 なんだか固い話になりましたが、ようは「色ペンで線を引きながら読むと、ただ読むだけより良いよ」って話です。

 私はこの本のやり方を厳密に守っているわけではありませんが、特にこれぞという本を読むときは必ずペンで線を引きながら読みます。難解で重厚な本の場合、線を引かないと理解が追いつかないとかもあるもんで…

 でも、10年くらいこのやり方で読んできたお陰で、まあそれなりに本を読めるようにはなったかなーという気がします。

 

 読書をより深いものにしたい方、ぜひ一度試されてはいかがでしょうか。

 オススメです!