Rassvet 歩行編

久々にお手入れする上でちょいと模様替え。読んだ本とか行った場所について買いてくつもりです。

下学上達の本棚:第12回「ガンダム世代への提言 富野由悠季対談集」富野由悠季

 ありがたいことに僕は10年後には死んでいるだろうから、後のことは次の世代の方々に考えてもらえればいい。ただ、そのときの新興勢力を育てるために、『Gレコ』のような作品を立ち上げる必要がある。

富野由悠季GUNDAM 35th ANNIVERSARY BOOK YOSHIYUKI TOMINO 1979-2014」)

 

 

 ガンダム Gのレコンギスタ」上映記念!今日はガンダム世代への提言 富野由悠季対談集」をご紹介します。

 

 

 アニメなんてガキくせーもん見ねえよという人でも、「ガンダム」という名前くらいはどこかで耳にした事があるでしょう。無論ガンダム大好き!という方もいらっしゃると思います。

 「ガンダム」というアニメは1979年に放映されたロボットアニメで、地球連邦政府が作ったガンダムという巨大ロボットにアムロ少年が乗り込み、せまりくる悪のジオン公国軍のロボットと戦う、というお話です。

 くわしい内容は、その辺の野原に転がってるガンダムオタクを捕まえて聞けば5時間くらい延々と話をしてくれますので、ぜひお試しください。

 そんな「ガンダム」、今ではスターウォーズ以上に様々なシリーズが展開している一大「ガンダムサーガ」が作られており、続編・スピンオフなどさまざまな作品が作られており、ガンダム関連のビジネスは年商で1000億円に上ると言われています。すごいね。

 その「ガンダム」の生みの親こそが「富野由悠季」監督なのです。

 

 富野監督という人は変わったアニメ監督で、作品や作品外のインタビューなどでいつも伝えてるのは、 「おまえら(ガンダムオタク)、アニメなんか見てんじゃねえ!現実を見ろ現実を!働け!お姉ちゃんを口説け!生身の人間に興味を持て!しっかりしろ!」ということです。

 オタクとしては「アンタが作ってるアニメを見てんだよ!」とも思うのですが、まあガンダムオタクたちはそうやって富野監督に説教されるのが大好きなもんで、「いやーその通りだなあ」と思いつつ毎度毎度ガンダムを見ちゃうのですね。

 

 そんな富野監督が、オタクたちが現実に興味を持つようにと、「ガンダムA(エース)」なんていうそのまんまなタイトルの雑誌で連載していたインタビュー記事がこの「ガンダム世代への提言 富野由悠季対談集」であります。

 侮るなかれ、この対談本では本当に幅広いジャンルの様々な人と対談しており、その対談も事前に相当な勉強を監督が行った上で行われているのです。だから対談内容も、表面をなでるだけの薄っぺらいものでなく、短いながらも骨太な内容ばかりになっています。

 たとえば第一巻から対談相手を少しだけ抜粋してみますと、元オリンピック水泳選手の山本(旧姓千葉)すずさん。リンガーハット会長兼社長の米濱和英さん。「夜回り先生」の水谷修さん。東大教授で水資源の研究者沖大幹さん。宗教学者の山折哲生さん。モデルの土屋アンナさん。etc…

 とまあ、よくこれだけ様々なジャンルの人と話ができるもんだと思うのですが、非常にバラエティに富んだ対談本となっています。必ず誰か、自分の興味関心に引っかかる人がいると思います。

 「ガンダムだって、これくらいの勉強して作ってるのよね」という富野監督の声が聞こえてきそうでありますが、実際にこの度公開された「ガンダム Gのレコンギスタ」を見ますと、そのインタビューの成果が如実に現れているなーと感じます。

 どの対談にも通底しているのは、結局「アニメなんか見てんじゃねえ!現実を見ろ現実を!働け!お姉ちゃんを口説け!生身の人間に興味を持て!しっかりしろ!」という事だと思います。

 

 ガンダム好きでこれから「Gレコ」をご覧になる方、別にガンダム好きじゃない方、すべての方に一見の価値ありの本です。

 オススメです!

 

 「こいつ、動くぞ…!」

 (アムロ・レイ機動戦士ガンダム」)