Rassvet 歩行編

久々にお手入れする上でちょいと模様替え。読んだ本とか行った場所について買いてくつもりです。

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下学上達の本棚:第39回「MASTERキートン Reマスター」浦沢直樹,長崎尚志

おお!

懐かしい友を紹介しよう。

世界一教養ある探偵兼保険調査員、キートン君だ!!

(ベコー「MASTERキートン Reマスター」)

 

 

 

 マスターキートン最新作MASTERキートン Reマスター」

 巻数は打たれてませんが、まあ多分これが第一巻で続刊があると思います。

 ビッグコミックオリジナル掲載時にもチョコチョコ読んでましたが、あらためてコミックスにまとまっていると、昔のキートンと一緒で読み応えたっぷりで嬉しくなりますね。

 自習室には前シリーズを置いてないのですが、今回のReマスターキートン単品でも読めるようになってます。ただキートンSASにいた設定とかしっかり説明されてるわけではないので、ちょっと入門者には敷居が高く感じられるかもしれませんが。

 

 マスターキートンのあらすじは、こんなかんじです。

 元SAS(英国特殊空挺部隊)の教官を務めていた日英ハーフの平賀・キートン・太一は、いまでは保険調査員として探偵をしていました。同時に彼は考古学者でもありましたが、その学説はあまりに学会の異端だったため、どこの大学の支援も得られず、いつか自分の学説を発掘調査で証明したいなあと思うばかりでした。

 キートンの持つ考古学や歴史学の深い造詣と、軍隊知識や格闘技術で様々な事件を解決するのがこの作品の特徴で、読むと世界情勢や歴史知識がなんとなく学べる良い漫画でした。

 

 前作のラストでチェコのシャウシェスクにまつわる陰謀を解決し、ひとつの村を救ったキートン。そこでヨーロッパ文明の起源たるドナウ文明の遺跡を発掘しましたが、なかなか学会に認められないまま10年が経ちました。

 いい加減年をとって、コンビを組んでたダニエルと探偵会社を廃業しようという話になりましたが、結局はまた色々な事件に巻き込まれます。

 

 今回のReマスターキートンの特徴は、ユーゴスラビアにまつわるエピソードが多いことですね。

 第一話ではモルドヴァで人身売買された女性がアルバニアを通ってイタリアに流れ着くところから話が始まります。第二話はクロアチアのドブロニクからサッカー好きのマフィアを脱出させる話で、第八話では軍隊時代の仲間がユーゴ紛争に民間軍事会社として関わっていたことが話の鍵になります。

 前シリーズは1980年代後半から90年代前半までの連載で、旧ソ連東西ドイツと冷戦崩壊が話の舞台になることが多かったですが、今回では前作が終わってから起こったユーゴの話を盛り込んだようですね。

 となるとやはりユーゴスラビアについての前知識がある程度あったほうが、より今回のキートンを楽しめるということです。

 

 自習室においてあるユーゴスラビア関係の本だと「戦争広告代理店」はじめ、「終わらぬ「民族浄化セルビア・モンテネグロなどのユーゴ紛争がどのようなものだったかを描くルポルタージュと、「誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡」「悪者見参 ユーゴスラビアサッカー戦記」オシムの言葉増補改訂版」のような、サッカーからユーゴ紛争を見たものがあります。まあほぼ木村元彦の本なんですが。

 

 

ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫)

ドキュメント 戦争広告代理店〜情報操作とボスニア紛争 (講談社文庫)

 

 

悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記 (集英社文庫)

悪者見参―ユーゴスラビアサッカー戦記 (集英社文庫)

 
オシムの言葉 増補改訂版 (文春文庫)

オシムの言葉 増補改訂版 (文春文庫)

 
終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ (集英社新書)

終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ (集英社新書)

 
誇り―ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫)

誇り―ドラガン・ストイコビッチの軌跡 (集英社文庫)

 

 

 Reマスターキートンの第二話ではユーゴサッカーが話のキーになってます。この話の中で出てくるデイナモ対レッドスターの試合で起こった暴動というのは実際にあった話で、サッカースタジアムの中の出来事がなんで戦争につながるのかというのは、これは「誇り ドラガン・ストイコビッチの軌跡」を読んでもらえればわかります。

 

 キートンが守るクロアチア人のマフィアは、ボバンやミハイロビッチなどの選手の話題をしますが、最後にキートンに対して「そのしつこさ、ストイコビッチばりだね」と言います。

 ボバンもミハイロビッチクロアチア人ですが、ストイコビッチはその敵のセルビア人です。セルビア人を憎悪してるクロアチア人ですが、この言葉から彼はストイコビッチを素晴らしい選手と認めていることがわかります。そういうことがわかると、ただの漫画のちょっとしたセリフも、少し深く読めます。

 

 東欧というのは、言葉もわからなければ歴史も文化も馴染みがないし、海外旅行とかの選択肢には殆ど登らないと思いますが、こういうキートンをきっかけにして、興味を持つ人が増えればなと思います。まあ僕も行ったことないんですけど。